堀江進司46歳、中年の主張。

堀江進司


 

今夜の振り起し稽古は、アラム・ハチャトゥリアン作曲による、仮面舞踏会を音楽に用いた作品。通称、ハチャトゥリアン。或いは略して、ハチャ。

 

前回の稽古は参加できなかったので、メンバーの揃う今回は、何としてでも参加したいと、意気込んで綱島に向かう。

 

仕事を終えてあたふたと向かう稽古前の空腹は避けたい。故に、歩き喰い、歩き飲みは当たり前。いい歳こいたオッサンの困った悪癖の波動を撒き散らしながら、街を闊歩し、電車を乗り継ぎ綱島へ着く頃には腹の虫も落ち着き、稽古に挑める第一段階はクリア。

 

綱島の町は変わりゆく運命の途上。かつて、綱島温泉・東京園の大広間にて、ダンス☆ショーを上演したが、その東京園も今は無い。地下鉄工事の余波で解体されてしまった。

 

川沿いにあったゴルフ場も無くなった。ゴルフ場の入り口にいた、草臥れた犬、可愛かった。昔ながらの、飾り気はないけど、土の上の飼い犬。時々触らせてもらい、慰めてもらった。

 

黒沢家の目の前にあった、伸び放題の植物に彩られた、誰も住んでいないけど気配の精霊との共存に思えた古いアパートも壊されて更地となり、これまで隠れていた、昭和時代に活躍していたであろう、下田黒田スタジオの看板が突如現れ、古い映画館の看板のような風情が美しかったが、久しぶりに来た今日、その褪せた看板も無くなっていた。

 


 

さて、ハチャ。これは、音楽の魔力が凄まじい。アルメニアの轟きが渦巻く、その悪魔的な旋律に絡まる、黒沢美香振付による大団円のダンス。ゴージャスとユーモアのアラベスク。見ていても、踊っても、ゾクゾクする。

 

だから、今日は、振りを思い出して、今後のためにと、気合いが入っていた。

 

しかし、ゆとりなく、稽古前のストレッチまで時間を割けずに、踊れる方たちからの振り写しに突入した。稽古への第二段階はすっ飛ばした。

 

段々と踊りを思い出し、取り戻しては取りこぼしての補強。そして、自分の中に取り込んだものを見てもらい、自習を経て、みんなと合わせる。

 

とりあえずハチャを通すこと1回目。

 

問題山積みだけど、なんとか手繰り寄せて、流れは辿ることはできた。

 

安堵。

 

もう少々、動きの動機付けや、ポイントを確認したのち、気合のスイッチが入る。今夜の稽古の最後にもう一回、ハチャを通すことに。

 

よっしゃぁ、行くでぇー!

 

ズンチャッチャァ、ズンチャッチャァ、ズンチャッチャァ、ズンチャッチャァ、

 

ブチッ。

 

鈍い音がふくらはぎからした。痛みで動けなくなる。

 

よくやるのだ。悪い癖だ。ストレッチ不足、久しぶりの稽古。美香さんからも、さんざん言われてきた。

 

稽古前のストレッチは大切です。もう歳なんだから、身体の維持あってのダンスです。

 

当たり前の事が出来てない。言い訳がましい奴だな。今朝、健康診断でバリウム飲んだからかな、そういや、なんとなく満月ぽかった。いや、やはり、加齢のくせしてストレッチしてないからだろう。

 

アイシングでふくらはぎを冷やしながら、みんなが踊る姿を眺めつつ、頭の中で自分の踊りを辿った。出来ていたと思う。

 

怪我をしても、稽古場には合流して、踊りを見ていることもダンスに繋がる、と美香さんが話してくれた事は、いつも胸の中にある。

 

一方で、踊りの感度がズレていたり、鈍っている人にも、踊らないで見ていてください、と、あえての判断を下すことも多々あって、緊張した。

 

わたしのふくらはぎは、治るのだろうか。引きづる足に不安は宿るけど、起きた事はもとには戻せない。

 

ハチャトゥリアン、かっこいい踊りです。

 


堀江進司46歳、中年の主張。」への1件のフィードバック

  1. 堀江様

    大変失礼になるかもしれませんが、どうぞお許しください。

    阿佐ヶ谷美術専門学校、某美術大学スクリーニング、ワイヤーでできた往還の下で踊っている、コム・デ・ギャルソンのロングシャツ、人形町、ロシアからのハガキ、で思い出す人物はいらっしゃいませんか?

    黒沢美香様のダンスをご紹介頂き、1度公演にいかさせて頂きましたものです。
    18年位前のことです。
    ご記憶にないのでしたら、大変失礼いたしました。

    古い記憶をたどり、どうしてもご連絡とりたく思い、探しております。

    記憶違いでしたら、本当に失礼いたしました。

    当方、当時、阿佐ヶ谷にある専門学校で働いておりましたものです。
    人形町で、ギャラリーをやってもおりました。

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