美香さんに纏わる思い出

谷川まり


 

ずいぶん昔の話で恐縮ですが、池袋のスタジオ200という場所で、イブ&イブという企画の中で、テーブルの上の目玉焼きを食べる人を覚えています。

 

小さな可愛らしい人で、あれが黒沢美香さんだというのを、聞いた気がしていたんですが、先日クリタチカコさんとお会いした時に聞いてみたら、やはり、卵焼きを焼いていたというので、目玉焼きではなかったのかなあと思いながら、でも絶対その時だということになりましたが、これを読んで下さっている方の中で、あの時目玉焼きを焼いていて、それを美香さんが食べたというパフォーマンスを覚えていらっしゃる方はいませんか?

 

もうかれこれ30年ほど前でしょうか?というと、意地悪いおやじが、もっと経ってるはずだとか、なんの役にも立たない突っ込みを入れるわけですが、女性の年齢に対するデリカシーを少しは持って欲しい、そうすれば世の中がもっと明るくなりますよ。といつも思っています。

 

それは関係ないことですが、そんな昔、私も若かりし頃、福島の田島町のパフォーマンスフェスティバルに参加しました。トマトを潰して自分の身体にかけて、歌を絶叫していたと思います。

 

そのフェスティバルで、偶然の果実のチラシをもらって、関心を持ちました。

 

その後、黒沢美香さんという名前の人が、あの小さな可愛らしい人と一致するまで時間がかかりました。

 

その後偶然の果実にいつか参加したいと思いつつ、言い出せずに月日が経って、KAATでの、偶然の果実、lonly womanに参加させていただきました。

 

パフォーマンスは20代から40代初め頃までやって、自分で企画もやりましたが、やりたい事の方向性が変わって、今はマッサージの仕事、アレクサンダーテクニークの学校に通っています。

 

そして、アレクサンダーテクニークの学校の課題で、ワークショップを開催するというのがあり、場所を探していたら、夫のサエグサユキオが、カドベヤという所に行ってみたら?というので行ってみました。

 

黒沢美香さんもワークショップをしていて、コグレさんもやっている。そんな話を聞いて、足を運ぶようになり、ワークショップもさせていただき、そういうご縁で、黒沢美香さんとやっと同じスペースを通じて交流が持てたのが、ここ2年くらいだったのです。

 

カドベヤは、横浜の石川町にあり、中村川という川を挟んだ向こう側は、寿町というドヤ街と言われた所です。毎週火曜日に、ワークショップと、ワンコインでご飯を食べられる、アートスペースです。

 

2010年より、主催の慶應大学の教授、横山千晶先生が、学生が様々なバックグラウンドを持つ人と交流できる場にしようと、身体知の授業をされたという、黒沢美香さんと、コミュニティダンスの先生、地唄舞の師匠さん等が講師で始められた活動です。

 

踊る教授陣というグループも存在したと伝え聞いております。色々なバックグラウンドを持つ人が、ダンスをやってもいいじゃないか。ダンスこそ人の人生を楽しく、美しくする道具だと、美香さんは言いたかったのかなあと、私は想像します。

 

私がかつてやってきた、パフォーマンスアートというのは、ダンスでも演劇でもない、しかしどちらかに解釈される場合もある、ある種の「芝居がかったもの」を否定する、無愛想な表現ではないかと思います。それは私だけだと、言われるかもしれませんが。

 

例えば、絵を描く道具なしで、絵を、あるアクションでやってみる。アクションアート。そんな事が私にとってのパフォーマンスアートだったのです。

 

ダンスをやってきていた人とは、全然違う方向を向いていたけれど、どこかで合流する地点が決まってきて、それが、KAATでの、lonly womanへの初参加でした。

 

無愛想なアクションも、その時久しぶりだったのです。

 

美香さんが天国へ旅立たれた後に、また参加させて頂く事ができるご縁に、まだダンスは終わっていない。新しいカタチのダンスはカタチを変え続ける。というメッセージを感じます。

 

無愛想なアクションを、どういう風にこれから展開させていくのか、私は考えたいと思います。子供を産まないただの変わった女性として、ヘニニズムを主張したい。大倉山記念館という、ヘレニズム様式の建物にちなんで。

 

 


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