ダンス☆ショーに向けて

松之木天辺


 

美香さんが星になってもうすぐ1年。いまだに寂しい。

 

先日、年末の『ダンス☆ショー』に向けて久しぶりにダンサーズの稽古に合流した。よみがえる、全身全霊で踊っていた稽古場の記憶。

 

僕が美香さんをはじめて体験したのは、2002年、戦友のホリエさんが出演したテルプシコールでのダンス公演だった。

 

受付のおばさんが無愛想に場内アナウンスをしたかと思うと、そのままおもむろに踊り出し、え、何!?このおばさんが踊るの?とビックリ仰天。

 

しかも演目が、一直線上を太々しく延々と前に後ろに行ったり来たりする『Wave』で。

 

その頃、歌役者として一年中舞台に携わっていたものの、それほどまでにアヴァンギャルドな作品に触れる機会のなかった僕は、一夜にして美香さんの虜になってしまった。

 

その後、当時散々お世話になっていた振付家の多恵さんに、ものすごいものを観た、と鼻息荒く報告すると、まさかの「あたしの世界で一番好きなダンサー」と返って来て、その熱冷めやらぬまま美香さんのところでダンス修行をすることに。

 

僕が行き始めた頃の美香道場は、ビリビリとした雰囲気で、通い始めてしばらくは誰とも口を聞けず・・・・・とこんな調子で書いていたら本当にキリがないのですが、美香さんには、舞台に立つ覚悟を仕込みに仕込んでもらいました。

 

いつかのワークショップのチラシに、「教えるなんておこがましいし、教わるなんて甘えないでね❤️」というような文言があったけれど、美香さんがなんと言おうが、美香さんは僕の師匠です。

 

 

 

美香クラスの案内文に、

 

「クラスでのトレーニングは言い換えれば〈車を整備する〉〈ピアノの調律〉のように考えていて何処にどうドライブするか、どんな音楽を奏でるかはあなた自身の身体が決断することとして、それを互いに見合いダンスへの姿勢が問われます。またゼロ(真っ直ぐ)にこだわり、真っ直ぐがあるからそれを縮める、折る、ねじる、伸びるがクリアーになると考えます」

 

という文言があるけれど、僕にとって美香道場は、本番を終える毎に立ち戻って、ゼロ(真っ直ぐ)に近づこうとする場でありました。

 

本番を終えて久々に綱島へ行くと、美香さんは「わー!てっぺん!」といつも歓迎してくれた。

 

そしてしばしば「汚れて帰ってきた」とも。

 

それでも、帰る場所、それが綱島の美香道場でした。

 

美香さんが星になってしまった今、僕には立ち戻る場所がない。美香さんに仕込んでもらった踊りを、これからは1人でなんとかしていかなければ、という新たな覚悟。

 

美香さんに言われた「中途半端に手慣れた甘さと汚れ」は、一生付き纏うであろう課題だけれど、僕はダンサー・黒沢美香を永遠の憧れとして一生追い求めてゆきます。

 

黒沢美香&ダンサーズとして踊るのは今生最後。

 

敬愛するイカした歴代ダンサーズと共に全身全霊で踊ります!美香さん、天国でケラケラ笑いながら見てて!ダメな時は緑の棒で叩いてください。

 

 


『黒沢美香振付作品集「ダンス☆ショー」より』公演詳細

黒沢美香 振付作品集「ダンス☆ショー」より

 

 


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