『ロンリーウーマン』誕生秘話

「ロンリーウーマン」実行委員
平松み紀


 

30分間、その場を動いてはならない。その場を離れてはいけない。

動かないダンス。ゼロのダンス。

 

 

「バニョレの予選に出ようと思う」

「えっ?美香さんがコンクール??」

「踊る機会に変わりはない」

「………。」

「30分なんだよね~」(あの高い声で)

「…………。」

 

 

そこから試行錯誤が始まった。

綱島の稽古場は長方形。横に使ったり縦に使ったり。でも何もうまれない。空回りの30分。ダンスが立ち上がらない。

 

 

「手を上げ下げして飛んでたってなんにもならないよ、動きすぎ、動きすぎ。」

 

 

出口さんから三人にいつものダメ出し。

いつものダメ出し、動きすぎ。

いつものダメ出し、毎回撃沈。

 

 

何回かのリハーサルを経て出口さんだったかな?美香さんだったかな?

「その場に立ったまま30分過ごしてみるか」

 

 

はぁ?立ったまま?30分~?

なにを、すれば、いいの、だ。

なんなんだ~それ。

 

 

そのときのことはなにも覚えていない。ダンスが立ち上がったとは到底思えない。ただ、ダンスの旅支度にはなったのかもしれない。30分間立ったまま、美香さんとチカちゃんとわたしはどんな景色の中にいたのか、わからない。

 

 

この『零度のダンス』と『ロンリーウーマン』1時間バージョンを経て現在のルールが育まれた。交代デュオやヒト時計が加わり上演時間内に何度も興奮の波が起こる。波の後の静けさが大好きだ。あのルールの美しさが大好きだ。

 

 

チカちゃんとわたしが参加する『ロンリーウーマン』は美香さんと三人で横に手を上げて場ミリ(立つ場所の印)を付ける。もう、この作業もないのか。

 

 

美香さんの居ない30分間。

どんな景色になるのだろうか。

 

 

 


『lonely woman』公演詳細

lonely woman

 

 


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